果報は寝て待て、という言葉は、幸運は人の力ではどうにもならないからのんびりと待つのがよい、という意味のことわざですが、農作業の魅力(農力)に魅せられた高齢の母は時として、作物を作ろう・収穫しようという心が先に立って無理をした結果、意に沿わない形で寝て待つことになってしまいました。そうならないためにも、高齢者が今後も健康に自らの身体を活かすため時には待つことの重要性、あるいはその時家族がどうサポートしたのかお伝えしたいと思います。もし同じ境遇の方々がいたとするならば、ご参考にしていただけたら幸いです。
無理をする母
しゃがんで草抜きをする母です。草が生えるのは自然の摂理で逆らえないことなのに、必要以上にひんぱんにかつ長時間草抜きをします。本人は畑で農作業するのを生きがいにしており、私も身体を動かすという意味では見習い、このサイトを立ち上げるきっかけにもなりました。しかし、母は腰を悪くしてお医者さんに、草抜きは15分以内にしておきなさい、と言われた身です。

にもかかわらず、こうして15分を超えて草抜きをひたすらし続けるのです。更には、昨年腰を痛めた畑の一区画で作物を作りたい、と言いだしました。そこで、できるようにしておくので、無理はしないようにと伝え我々夫婦で耕すことにしました。

苗を植えたがる母のヘルプに入る
数年前に我が家の管理機デビューしたばかりで、まだ操作に不慣れな妻が管理機で耕すと言ってくれました。

妻のヘルプに感謝し彼女をサポート
エンジンを始動するのでさえ毎回教えないと分かってくれないのだけど、これだけ義母のためにがんばろうとしてくれてることは感謝しています。

腰痛に至らないよう交代で作業
ただ、妻も腰痛もちです。そこで、無理をせず私と交代で耕していきます。2人が交代で作業する際に見る進行方向の左奥には、母が植えたほうれん草が見え、小さいながらも元気に育っていました。

失敗は身体への負担以外に対しては寛容に
また、その右手には母が育てたものの、葉が開き結局収穫に至らなかった白菜の残骸が植わっています。

作物の収穫に失敗しても身体は壊さない
しかし、それも自然の摂理です。

母の生きがいになってくれればそれでOK
それでも、少しの収穫があったことは喜びでした。我々にもおすそわけしてくれ、家族でありがたくいただきました。母も少しの張り合いになったことでしょう。

耕している際トラブル発生!
収穫した白菜の葉がつぼむことなく育ってしまった原因は何だったんだろうと気持ちを散らしていると、ふいに妻が耕していた土の異常を訴えかけてきました。耕していたら、昨シーズン埋設した大量のサツマイモのツルが分解されず残っていたと言うのです。

本当だ!やはり、時期尚早でした。今回は、母の何かを植えて育てたいという声に動かさたものの、自然には逆らえません。これだけの残渣が残ってしまっていては植えるどころの話ではないので、母にはその旨を伝えました。母の果報である農作物を生みだす土づくりも寝て待つ必要があったのを思い知らされました。

母の身体にもトラブル発生!
右足の不調
更に、時期尚早なのは母の身体も同じ話でした。医者に通うことも止め、家でのリハビリもせず毎日の草抜きに勤しんでいたある日、突然母は右足が痛いと言いだしました。
歩行障害
四点杖に身体を預けないとまともに移動できなくなってしまいました。

信頼できるお医者さんの言うことは素直に聞くべし!
長い苦しみの夜のスタート
信頼できるお医者さんの言うことを母は聞くべきでした。自分の作物を育てたいという心が勇み足となり、無理な姿勢での15分を超える草抜きをした結果、ある日の夕方6時半に様子を見に行くと母は階段から下りた状態で座り込み、起き上がれなくなっていました。

強がる高齢者の母
転んだりしたわけではありませんでしたが、自室の2Fから下りてきてそんな状態になったと言っていました。助けようとするも、私の助けを借りようともせず、母はそのままキッチンに入ることもできずに、夜中12時まで階段下にい続けました。結局、それから母が食事をし、風呂に入り寝室に行ったのが深夜2時半でした。精も根も尽き果てていたことでしょう。見守っていた私も大変疲れました。

高齢者の強がりは本人だけでなく支援者である家族も疲れさせる
自然の摂理には素直に、大変な時には周りの助けを借りないと、支援を受ける側も支援する側も疲れきってしまうと思い知った出来事でした。翌日、以前に診断していただいた整形外科に行こうかと思いましたが、予約がとれませんでした。仕方がないと思う反面、無理をし過ぎる母には”果報は寝て待つ”くらいのゆとりが必要だと思い知るくらいの良い薬になった!?ことを願わずにはいられません。

ネットと紙媒体フル活用で母の病院の準備
それから更に翌日、朝5時起きでネット予約で目的の整形外科の予約をとることができました。母へのメモ書きをして午後の診療(会社半休)に備え早く出社しました。

通院支援
当日の夕方5:30に母を連れて整形外科に行きました。

整形外科に到着し、母はふらつきながらも整形外科に杖をついて入っていきました。

2人して診察室前で待ちます。

信頼できるお医者様の言うことは本人も家族もしっかり聞く
呼ばれて、母に立ち会うと、まず「全然前回から来ていなかったね、薬をもらいに3か月に1回来るように言ったのに」とちょい叱られました。母の骨が骨粗しょう症の状態で、定期的な薬の摂取が必要だということでした。母も聞き逃していたことをはっきり聞けて、会社を休んででも来た甲斐がありました。

診察と背中への注射も終わり、目の前にこの整形外科の名医がお勧めする本が紹介してありました。

母が作った農作物の収穫(家族のサポート)
野菜より母の身体の方を重視
帰宅後しばらくしても、母は寝る日が続いてたため成長した作物(左:ほうれん草)も収穫されるのを待ち続ける状態でした。

野菜の大きさに嘆くより母の回復を待つ
母が持っていっていいと言うので妻が収穫してくれました。すると、ジブリパークで見た巨大な植物のような大きさのほうれん草が穫れました。

人の脳力で再生し果報となる
妻があれこれ考え、大きさなほうれん草を美味しく料理してくれました。
汁物

和え物

ほうれん草のキッシュ

母の身体も春を迎える
そして、母は寝て待った結果、なんとか杖をつきながらふらつくことなく歩けるようになりました。

まとめ
高齢者は本人であっても案外自分の身体のことは分からないことが多いです。身体に起こった問題は時に本人にも家族にも大きな負担を与えることになります。大切なのは、まずは月並みですがその状態を信頼おけるお医者さんに診てもらい、家族と一緒にその話を聞いて共有することです。更に家族から動いてサポートし高齢者が農作業等無理することなく寝て待っていられるくらいの心の余裕を与えておくことも重要です。
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