零細農家を見捨てない巨大IT企業Google

田舎の風景が変容していく様 農力を活かす
2012年、2015年、2023年と人の営みが変わっていく様子をGoogleストリートビュー撮影車は撮り続けてきました。

親から受け継いだ稲作を初めて数年は、何も分からず自分が引き継ぐ田んぼの”過去”の情報を必死でかき集めました。

紙ベースでの情報

父が記録してきた農業記録
今はこの紙媒体の記録と農業用アプリAgrionのクラウド記録の併用使いをしています

救いのGoogle情報

そこで零細農家である我が家の田んぼの脇道でも巨大IT企業Googleがマップに載せてくれていたんだという事実を知り驚かされました。そしてその景色を代々引き継いでこられたご先祖様に思いをはせ、改めて尊崇の念を抱いたのです。

小さな零細農家である我が家の田んぼの写真
Googleマップに、こんな地方の零細農家の田んぼ脇の道の写真までが掲載されていたことは、驚きであり喜びでした。

都会、あるいはスマートシテイー化された場所で済めば解決?

シンプルあるいは合理的に考える方は、少子高齢化なんだから人が少なくなっていく地方にお金を流すな!とか言い、”臭いものにはフタをしろ”的な発想で地方が荒廃していくことを是とするかもしれません。

持続的な農業を目指す
合理的、都会中心、そんな考えに抗い、これからの日本の農を持続可能なものにしていく試みが求められます

ところが、そんな発想はどこ吹く風、日本人がかつて持っていた、誰もとり残すことのない持続可能な精神が、SDGSという言葉で世界に広まっています。更に米国巨大IT企業の万人に役立つIT技術の恩恵は、日本中どこでも人々が享受できます。

日本に必要な、誰もとり残さない持続可能な心

しかし、今の日本は、人のためになる、はずの農がグローバル化の名の下に置き去りにされ、多くの田園地帯が荒廃化しています。

荒廃農地を活用する新たなアイデア
輸入に押され多くの地方農家が衰退しました。そこで、食料自給率の向上のために新たなアイデア、それを実行に移す行動力が求められます

そこで、巨大IT企業とまではいかなくとも、せめて彼らが提供するIT技術等の英知を結集して、”未来の人のために”農をより良く変化させれたらと考えます。

全国でクマの出没が頻発している事実が物語っていること

観察できる場所ではなくなった、観察する人自体がいない。自然と接する住宅街近くの田園地帯(野生生物との緩衝地帯)が荒廃化し、人間が立ち入れなくなっている程の状況が、クマ等野生生物の侵入を許すことに繋がっていると考えられます。

まさしく我が家の田んぼが、荒れた所有者不明の山林沿いにあるため、その脇道がGoogle ストリートビュー撮影車が通るのを渋るくらいの状況になっていました。

Googleストリートビュー撮影車が通れない程の道

イノシシがこんな風に地面を荒らして掘り返したところに雑草が伸び放題となっていました。荒廃的雰囲気が漂った道でした。

イノシシのしわざ
電気柵により田んぼの圃場に入れなかったイノシシが脇道の土の箇所を掘り返し、そこに生える草を刈ることを困難にさせました。

所有者不明の山林から木々が倒れ込み、道を塞いでしまう程の有様。さすがにストリートビューの撮影カメラが壊れちゃいますよね。

荒れた山地から伸びるつる系植物。
農業機械や軽自動車でもつる系植物に当たってしまう始末で、私が農業を継いで以降Google車が通り更新されることはありませんでした。

したがって、草や木々で普通の通行が難しかった上の赤の区間がGoogleストリートビューは10年以上も更新されていませんでした。そこには今はない我が家の田んぼのハザ入れや古民家も写っていたのです。

今はなき古民家やハザ置き場の写真
最近までGoogleストリートビュー撮影車が通っていなかったことを表す、今はなき古民家やハザ置き場の写真です。

せめて、Googleストリートビュー撮影車が通れる道に

観察しながらの運動として田んぼへはインターバル速歩で向かい、その道中で見つけた異常は行政へ報告し、人が使える環境にと努めると、今年(2023年)になって、Googleストリートビューに、今まで見たことのない青いクリック箇所が表示されました。

最近Googleストリートビュー撮影車が通った痕跡が、”他の日付を見る”と書かれたクリックできる箇所です。
2012年以来、近くの所有者不明の山が荒れていたこともあり、通るのが困難だった道の周りの環境をいくばかりか改善したことにより、Googleストリートビュー撮影車が通ってくれた証です。

そこで、早速押してみると、今までの古い写真(右)に加えて、最近の写真(左)が写し出されるようになりました。

2023年7月Googleストリートビュー更新後の山際の田んぼ脇道の写真
これまで、所有者不明の山林が荒れていること、イノシシ等の害獣の出没により土手が荒らされたこと、によりとても通るのが厳しい山際の道の環境改善をしたところ、Googleストリートビュー撮影車も通り、人が利用できる道に変りました。
2012年5月時点の山際の写真がつい最近までGoogleマップに掲載されていました。
現在の木々が道を覆う程の様子とは異なり管理がいき届いています。

Googleストリートビュー撮影車が通ってくれたのを実感

やったー、Googleストリートビュー撮影車が通った!何か蛍の消えた川に蛍が戻ってきたような、密かな喜びを感じました。加えてこのポイントの反対側を見てみることにしました。

2023年7月現在、かつての太陽の光をも完全に遮った荒れた木々
それは土手果ては道にまで及び、近辺の草刈りを困難にするまでになっています。
2012年5月の田んぼ際の山を別角度から見た様子
昔は山の合間に辛うじて空が見えていましたが、現在では所有者不明の部分の荒れ具合がひどく、木々で同じ空が全く見えません。

更に山とは反対の南側も見てみました。

サボって植えてないのではない、家族の負担を軽減させるための一部撤退です。
最近更新されたGoogleストリートビューには、苗の育ちが悪かったり収穫に手間がかかったりするため山際の陰のある圃場に田植えをしていない様子が写っています。
ハザ置き場がある写真
道がとおりにくいためgoogleストリートビュー撮影車がしばらく通らず、更新がされてこなかった田んぼには、時代の波でなくなったハザ置き場が写ったままになっていました。

昔の写真には、負担の大きかったハザ干し作業のなごりが、一方、今の写真には負担軽減で苗を植えてない部分が見えます。

誰かの役に立つこと

大げさな言い方ですが、Googleストリートビュー撮影車が撮影した場所は、人が使える道として認めた証です。

価値は”人のためになっていること”

Google等巨大IT企業は、その規模に委縮しがちになりますが、彼らは、人のためになる事業を実直に行ってきたからこそ今の成功があるんですねぇ。

田舎の風景が変容していく様
2012年、2015年、2023年と人の営みが変わっていく様子をGoogleストリートビュー撮影車は撮り続けてきました。

もし私が田んぼを引継ぐ決断をしなかったら、もし私が田んぼ周りの環境変化を気にも留めていなかったら、この辺りはイノシシが民家の近くを動き回る荒地になっていたことでしょう。

そう考えるとGoogleストリートビュー撮影車が人の役に立っている道の撮影をしていること、と私のしてきたことがベクトルが重なった気がして、荒れた環境から人間社会を守ろうと、やる気がみなぎるのでした。

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